だって、君は俺の妻だから~クールな御曹司は雇われ妻を生涯愛し抜く~
「気を使わなくていい。甘いものはそこまで好きじゃないんだ」

「そうなんですか」

 たしかにいつもコーヒーはブラックだし、彼が甘いものを好んで食べているのを見たことがない。それにしても。

「久弥さん、いっぱいチョコレートもらってそうですよね」

 からかい混じりに返すと、彼の眉間の皺がさらに深くなった。否定しないところを見ると事実らしく、予想通りでつい笑みをこぼした。

「じゃあ、せめて好きなものを作りますよ。カレーにしましょうか?」

「……瑠衣に任せる」

「はーい」

 ぶっきらぼうな返事に明るく返す。カレーは久弥さんの大好物なのは、もう知っている。せっかくならハンバーグもつけようかな。

 ウキウキ脳内で計画を立てていたらアクセサリーが並んでいるのが目に入り、足を止めた。

 手を引いていた久弥さんも立ち止まり、彼の手をほどいてアクセサリーの棚に近づく。そして目に留まったバレッタに手を伸ばした。ワンポイントとしてブルーと白のビシューがきらりと光り、派手すぎず上品なデザインが目を引く。

「これ」

「欲しいのか?」

 久弥さんに尋ねられ、すかさず答える。

「はい。母に似合いそうだと思って」

 笑顔で返事をしたら、どういうわけか久弥さんは虚を衝かれた表情になる。

 意味がわからないまま再び棚に意識を向ける。今度は別の髪留めに手を伸ばした。

「光子さんには、これとかいかがでしょう?」

 飴色のシックな土台に金色とパールで作られた花のモチーフが添えられていた。
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