君とふたりで。
「あ〜やっぱかっこいいなー」
落ちてしまうんじゃないか…とハラハラするあたしをよそに、香織は身を乗り出して窓の外を見ていた。
その視線の先には…
「裕矢先輩こっち向いてくんないかなぁ〜!」
珍しくこんな早く──と言ってもすでに2限なんだけど──登校したらしいあの人達がいる。
ふと横に目をやると、あたし達と同じように窓の外を見ている生徒がたくさんいた。
…どこかの有名人みたいだ。
みたい、というのはちょっと違うな。
すでに有名人なんだから。
「あの2人並ぶとオーラがやばいよねぇ!!」
「マジ抱かれた〜い!」
黄色い声ってこーゆうのを言うのか。
「唯、どーだい!? 愛しの片岡先輩はっ」
「ちょ、やめてよね香織〜!!」
キャッキャッとじゃれ合う2人。
「唯はさ、ハ…片岡先輩のこと好きなの?」
言葉に出して聞くと、胸に微かな違和感を覚えた。
なんだかモヤモヤする…気がする。
「まっさかぁ!! 雲の上の存在だよ! 近づくことすら許されないって感じ!」