君とふたりで。
「そっ…かぁ」
それを聞いたら、さっきの違和感は消えてなくなった。
…なんだろう。変な感じがした。
「咲良〜今日俺のこと見てたっしょ!?」
学校帰り。
またあの道で、例の問題児に捕まった。
テンションの高さに軽く目眩がしそうだ。
「いや」
「強がんなって〜!」
「強がってない!!」
「あ〜あ、俺ってば罪な男」
「あはは」
智史さん…
笑ってないで助けて。
「それよか咲良」
「ん?」
「俺らの話誰かに言った?」
珍しく真剣な面持ちで話し出す。
こーやってれば男前なのに。
なんてことはどうでも良い。
「なんで?」
「だってさぁ、俺って女の子に人気じゃん?」
「…知らないなぁ」
「嘘つくなや!」
そのやりとりに笑っていた智史さんは、笑いを収めると淡々と話し始めた。
「まぁ裕矢の言うことはともかくさ。咲良ちゃん、コイツらの噂はよく聞くだろ?」
問い掛けに、素直に頷く。