君とふたりで。



「ハル、携帯電源切ってんだろ」


「2日前から充電してねぇ」


「はぁ!? アホか!! 意味ねーじゃん!」




やりとりを見ていると、あたしの方に視線を向けた“ハルさん”と目が合った…から、思わず逸らした。



やばい。感じ悪いって思われたかも…!!




「ははは!」




すると、爆笑とまではいかないが、高らかな笑い声が。




「智史何笑ってんだー?」


「や、こっちの話」




裕矢くんは不思議そうに首を傾げたが、すぐ興味がなくなったようで。


「他の奴らも来てるし、とりあえず行こーぜ」と溜まり場へ入っていった。


“ハルさん”もそれに続く。



智史さんとあたしだけ取り残された。


行かないのかな…と思っていると。




「咲良ちゃん。アイツのこと苦手?」




歩いていく“ハルさん”を指差し、唐突な質問。




「え"!? いやっあの。………はい」


「素直だなぁ!」


「なんか…」


「ハル怖い?」




怖くないと言えば嘘になる。


でもそれ以上に感じるものといえば──




「あれ、不思議っ子だからな〜」




< 89 / 102 >

この作品をシェア

pagetop