もう、秘密になんて出来ないっ!

でも、わたしは知っている。そのバッグの値段を。

バイトも何もしていないわたしが簡単に買える品ではないのだ。

このバッグを買うために密かに貯金もしているのだが、なかなか買える金額には至らない。

…欲しいなぁ。

「このバッグ可愛いですよねぇ。お客様ぐらいの年代の方にとても人気なんですよぉ」

「っ!あ、そ、そうなんですか」

店員さんにいきなり声を掛けられてビクッとなってしまった。…恥ずかしい。

ここで店員さんにこのバッグをススメられたら困る…!

「あ、あの、わたしっ、アルファベットのチャームが欲しくてっ」

「あ、それでしたらこちらにございますよぉ」

上手く誤魔化せたらしく、店員さんはにこやかにチャームの所まで案内してくれた。

…誤魔化せたのはいいのだけれど、チャームの値段を見てビックリ。

ここはチャームたりとも抜かりはないらしい。

そして値段がするだけのことはあって、とてもデザインが凝っていて、いかにも女の子が好きそうなそれだった。

…高いは高いけれど、買えなくはない。…かな。

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