薙野清香の【平安・現世】回顧録
「じゃあ、印刷会社はここで確定しよう。次にサイズだ。小説なら文庫サイズで良いだろうが、エッセイ……写真を多くするなら、B5かA5はほしい」

「ん~~~~、考えること色々で頭がパンクしそうなんだけどっ……ていたっ!」


 清香が天を仰ぐと、崇臣が額を小突いた。小さな痛みが清香に走る。


「おまえ、これは編集をする前段階だぞ?」

「わかってるけど……」


 崇臣はパソコンの前から立ち上がると、清香に再び腰掛けるよう促した。


「……ねぇ、あんた、妙に詳しいみたいだけど、その手の趣味でもあるの?」


 清香は椅子に腰掛けながら崇臣に尋ねる。先ほどから気にかかっていたことだ。東條命のこの男の心を動かすものが他にもあるとすれば、それは実に興味深い。そう思って尋ねた。


「それはもちろん、主の写真集を作ったり、主の作文を纏めたり、主からの手紙を……」

「わかった、もう良い」


 はぁ、とため息を吐きながら清香は額を押さえた。やはり変態というものは基本的に一つのことに傾倒するものである。


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