薙野清香の【平安・現世】回顧録
***


「うわぁぁぁぁ‼やっぱり遊園地は良いよね!ねっ、お姉ちゃん‼」


 芹香は瞳を輝かせながら、嬉しそうに笑っている。頭のてっぺんでまとめたポニーテールが、ピョンピョン跳ねる様子がとても可愛らしい。清香は芹香の頭を撫でながら、コクコクと何度も頷いた。


「俺も、こんなところに来るのは久しぶりで嬉しいなぁ」


 東條も穏やかに微笑みながら、キョロキョロとあたりを見回している。崇臣だけはいつもと変わらない様子で、じっと、ある一点を見つめていた。


「ねぇ、早く入ろうよ。ねぇ!」

「わかったわかった!その前にさ、写真撮ろうよ」


 興奮を抑えられない様子の芹香に、清香は優しく微笑んだ。手には先日購入した一眼レフカメラが握られている。再登場の機会がこんなにも訪れたこと、これからも訪れ続けるだろうことが、清香は嬉しくてたまらない。


(ずっと貯め込んでいた小遣いを費やした甲斐があったわ)


 カメラにうっとりと頬擦りをしながら、清香は笑った。


「良いですね。撮りましょう」

「はい。そうと決まったら皆、並んで並んで」


 清香が声を掛けると、芹香と東條がごく自然に隣りに立つ。うっとりと顔を見合わせて笑う二人は、あまりに美しかった。


(シャッターチャンス‼)


 清香は瞳を怪しく輝かせながら、ものすごい勢いでシャッターを切った。


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