薙野清香の【平安・現世】回顧録
「良いのよ、気にしないで?」


 清香が言うと、暁は少しだけ、ほっとしたような笑みを浮かべた。


(この子が悪いわけじゃない。でも、このままじゃきっと、暁さんは罪悪感を抱え続けなきゃいけない)


 考えながら、清香はチラリと紫を睨む。けれど彼女は、そんな清香の想いも知らず、勝ち誇ったかのように微笑んでいた。


(仕方がない)

「ほら崇臣、折角だから写真、撮ってもらいましょう」


 清香はそう言って、崇臣を肘で小突いた。ここは相手の申し出に乗ってしまうのがベターだと、そう判断した結果だ。けれど崇臣は不服そうな表情で、紫を睨んでいた。


「あっ、暁ちゃん!来てたんだね」


 すると、清香たちがやり取りしているのが藤野姉妹だと気づいたのだろう。東條が芹香と一緒に、こちらへ近づいてきた。


「奏くん!あの……ごめんね、お姉ちゃん、言い出したら聞かなくって」


 暁が顔をクシャクシャにしながら、再び頭を下げた。


「どうして謝るの?俺は別に構わないけど」


 そう口にする東條の隣で、芹香が興味津々に藤野姉妹を見つめている。暁はドギマギしながらチラチラと芹香を見返していた。


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