薙野清香の【平安・現世】回顧録
「じゃぁ、私は……」


 そう言って、フレームアウトしようとする暁の腕を、芹香がギュッと掴んだ。驚きで暁の瞳が見開かれる。


「暁ちゃんも一緒に。ね!」


 芹香はまるで、自身の幼馴染に向けるかのような、そんな柔らかな笑みを浮かべていた。暁は一瞬戸惑うような仕草をしたが、芹香につられるようにして笑った。


「……うん!」


 隣り合う暁と芹香、そして、その隣に東條が立つ。崇臣はようやくこちら側へ来たかと思うと、清香と共に、三人の後ろに並び立った。


(何でだろう……今すごく、心が温かい)


 未だ暁に対する清香の想いは複雑だ。けれど、芹香の嬉しそうな表情があまりに美しい。


「良い?撮るわよ」


 不機嫌そうな声音で紫が言う。

 ややして、カシャッと音を立ててシャッターが切られた。その瞬間清香は、目頭がじわりと熱くなった。
 何か感じるものがあったのだろうか。崇臣は小さく笑うと、清香の肩をそっと叩いたのだった。
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