薙野清香の【平安・現世】回顧録
「少しだけ、お姉さんと話してみたかったんです。二人きりで」
まるで、清香の考えを読んだかのように東條が言った。相手が清香でなかったら、思わせぶりとも受け取れる発言である。
(さっすが、主上は言うことが違う)
かつて国の頂に立ち、賢帝と慕われたお方だ。皆が東條を愛し、彼のために働いていた。その人たらしっぷりは、現世でも健在のようだ。
「芹香のことなら何でも聞いて?私が一番、あの子のこと知ってるから」
清香は胸をドンと叩きながら、明るく笑って見せた。
本当は未だ緊張が残っているものの、身分制のない現世において、一応二人は対等である。それどころか、清香の方が年上なのだ。変にへりくだり過ぎては、東條に怪しまれてしまうだろう。そう清香は思った。
「そうですね。俺もそう思います」
東條はそう口にすると、少し声を上げて笑った。茶目っ気のある、彫刻のように整った横顔が眩しい。現世で芹香が惚れたのも、納得の美しさである。
まるで、清香の考えを読んだかのように東條が言った。相手が清香でなかったら、思わせぶりとも受け取れる発言である。
(さっすが、主上は言うことが違う)
かつて国の頂に立ち、賢帝と慕われたお方だ。皆が東條を愛し、彼のために働いていた。その人たらしっぷりは、現世でも健在のようだ。
「芹香のことなら何でも聞いて?私が一番、あの子のこと知ってるから」
清香は胸をドンと叩きながら、明るく笑って見せた。
本当は未だ緊張が残っているものの、身分制のない現世において、一応二人は対等である。それどころか、清香の方が年上なのだ。変にへりくだり過ぎては、東條に怪しまれてしまうだろう。そう清香は思った。
「そうですね。俺もそう思います」
東條はそう口にすると、少し声を上げて笑った。茶目っ気のある、彫刻のように整った横顔が眩しい。現世で芹香が惚れたのも、納得の美しさである。