別冊・ダブルブルー
なにが?


黙っていたら、なおも重ねられた青さんからの、質問。


鏡越しの青さんのおだやかな表情は、かたくなだったココロを、ていねいにていねいに、ほどいてゆく。


「…青さんの表情が、どんな映画やドラマでみるより、ずっとずっと優しいな、って」


当たり前でしょ。だって蒼ちゃんはどんなことより大切な、オレのハニーだし、奥さんだし、いちばんの理解者でいちばんのファンでいてくれるでしょ?


瞬間的に返ってきた、そんな青さんからの返答は、瞬間的だからこそ、常日頃から私をそんな風に思ってくれているんだという、大きな確信になる。


「青さん、好き、です」


そんな青さんの気持ちに、応えるように無意識に口をついた、私のコトバ。


後ろから私を抱いている、青さんの腕に力が入る。


蒼ちゃん、オレはね?好きじゃなくて、愛してます、よ?


私の左手を握る、青さんの左手。


そこには、重なる結婚指輪。









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