別冊・ダブルブルー
玄関の鍵を開けたら、青さんのスニーカーがきれいに揃えてあった。


もどかしい気持ちを抱えて、『ただいま!!』言いながら、リビングのドアを開けたら…


「…あ…、」


ちいさな呟きが漏れた、のは。


窓から入る、オレンジ色の夕陽を一身に受けて、ソファーでうたた寝をする青さんの姿を見つけたから。


両手に下げていた、エコバッグをそっと床において、ふらふらと愛おしいひとのもとへ、歩を進めた。


見下ろした愛おしいひとは、いつもにも増して、


「…キレイ…」


その頬へ、思わず手を伸ばした。





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