ひと駅分の彼氏
☆☆☆

去年の夏休み。


私と真琴はバスに乗って少し遠くまででかけていた。


バスの中にはカップルや家族連れが多く、みんな夏休みを満喫している様子だった。


途中でバスを下車して、近くを観光しながらまた別のバスに乗り継ぐ。


そうやってのんびりと移動してきた先は、海だった。


「わぁ~!」


海から遠い山間の街に暮らしている私達は太陽の光を受けてキラキラと輝いている海に大興奮した。


浜辺は海水浴客たちで賑わっていて、海の家が軒を連ねている。


「潮の匂いがするな」


海風は少しベタついていて体や髪の毛に絡みついてくる。


潮っぽい匂いが鼻をくすぐって海に来たのだと実感した。


「よし、行ってみようか」


それから2人で浜辺へ降りていって、パラソルとレジャーシートをレンタルした。
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