ひと駅分の彼氏
そのまま腕を引かれて歩き出す。


授業中で誰もいない廊下を私達のシューズの音だけが響いている。


優花里はそのまま昇降口へと向かった。


「早退するの?」


ようやく涙が落ち着いて声が出せるようになった私はそう聞いた。


「少しだけね」


一体どこへ?


そう聞くよりも先に、優花里はまた私の手を握りしめて歩きだしていたのだった。

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