甘すぎる小悪魔に見つかったなら。
「じゃあ……どうして周りには自分とは違うように見せるの?」



聞いたって,何か特別なことが言えるとも,出来るとも思わなかった。

ただ,私に聞いて欲しいんだってことは分かって。

これは反則……?

なんて使ってしまった質問権について聞いたりもしない。

十和の"落ち着く",は,"寂しい"なんだって分かって。

十和は,頭だけが壁につくように,ずりりと背をたらしてぽつりと言った。



「嫌に,なったんだよ」

「嫌に?」

「人間関係が,嫌になったんだ」



言葉の重みだけが,ずっしりと肩に落ちる。

何か,そう思うようなエピソードがあるんだろう。



「僕って,あゆだけの前じゃ返事は割りと簡素だし,意味もなく笑ったりしないし,身体全身で表現したりもしないでしょ?」

「うん……冷静で,落ち着いてて……」



それで,ふわっと笑う。



「そのままだと……返事1つで思ったのと違うって反応されて。ほら,どこもズレてない上に,愛嬌のある顔だから。一定の女子には理由なく好かれても,その他の男女の反感買っちゃうみたいだったんだよね」



むにむにと自分の頬をひっぱる十和。

うん,確かに綺麗。

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