甘すぎる小悪魔に見つかったなら。
「もっと笑えって言うもんだから,一回バカみたいに笑ってやったんだ。そしたら,そっちの方が生きやすいんだって分かって。どうせ望んでもない人に好かれるなら,いっそ全員に好かれた方がましだと思ったんだよね」



十和の疲弊した表情に,胸がつまった。

十和は,周りの反応と,自分の選択に苦しんでいる。



「せめて嘘だけは言わないようにしようって,言葉を選んでるはずなのに。どうしてこんなに嘘をつくような罪悪感がするんだろう」



十和は言いながらごろんと横向きになって,太ももの上にあった私の手を握った。



「分かってるよ,言葉なんて無くても,僕が周りを欺いてるからだって」



私の手と引き合わせるように,手を引きながら,顎を寄せる十和。

私はもう片方の手で,十和の頭を撫でる。
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