甘すぎる小悪魔に見つかったなら。
「なんでちっちゃくなってるの?」

「別に」



なんとなく,居心地が悪くて。



「そんなにコンパクトだと,抱き締めたくなるんだけど」



それは今,とても困る。

しゃんと背筋を伸ばすと,また笑われた。



「あ,ついた」



電車には,普通に間に合ってしまった。



「じゃあ,私……帰る,ね? 十和も,ありがとう。みんなと遊べて楽しかった」

「僕はあゆがいるから,来ただけ。でも,楽しかった」

「……そっか!!」



動機はともあれ,楽しかったなら良かったと思う。

階段を登ろうとして,背中に声がかかる。



「あゆ」

「んー?」



まだ,何か?

言い忘れたことでもあったかと,私は笑顔で振り返る。



「明日にしようと思ってたんだけど」

「うん」

「明日,放課後残ってて。あゆに,言いたいこと,ある」



呼吸を,止めてしまった。

不自然に映らないよう笑って



「……うん,分かった!」



私は首をたてに振った。

耐えきれず,背を向ける。



「またね,あゆ」

「また,あした」



それを合図に,私は階段をかけ上がった。

どうせまた,暇潰しだって言うんでしょ?

それか,2人に話したことの話でしょ?

なのに,私。

一瞬何を想像した?
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