甘すぎる小悪魔に見つかったなら。
こんな風にときめくなんて,だめなのに。

意識したって,いいことなにもないのに。

あんな風に,十和が勿体ぶるから。

あの感情は,期待,だった。

あり得ない,自分にはまだ来ないはずの気持ちだった。

どうしよう……わたし。

ホームの向かいに,十和を見つける。

十和は私を見て,距離を感じさせないほどにふわりと笑った。

だめだ,もう。

頬がどくどくと,あつい。

電車,やっぱり来て良かった。

うつ向いたまま乗った電車の安心感は,今までで1番強かった。
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