スキがない総長の大胆な溺愛
「(…ゴクッ)」

「……っ」



優利はしばらく私を見つめた後…

ふい、っと。

私から視線を逸らす。



「……さっき言ったろ。男は、女の事が好きでなくても、そういう事が出来んだよ」

「っ!」



パシッと、優利の頬を叩く。

自分でも思ってもみなかったことで、叩いた私の方が「え?」と声を上げてしまった。


対する優利は、叩かれても身動き一つしていなくて…

少しずつ私から遠ざかり「ほらな」と言った。



「結局、明里には何の覚悟もないんだ。

それなのに男の部屋についていくなんて…どうかしてる」

「ど、」



どうかしてる、なんて…!!



ムカついてしまい、口から言葉が漏れる。

今まで沈黙していた感情たちが、列を成して、私の口から飛び出そうとするのを待っている。

その衝動を止める術を…私は持ち合わせていなかった。



「ゆ、優利のためじゃん…!」
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