スキがない総長の大胆な溺愛
「は、そうか…そういう事なのか…」



私は立っていて、優利は座っている。

だからなのか…

背が高く大きい優利が、今はすごく小さく見えた。



「優利、どうしたの…?」

「明里…今の俺は、何も話せない」



「話せないって、なに…?」

「話せない……でも、お前の行動は絶対に間違ってる。

夜野の家から、さっさと荷物をまとめて戻ってこい。

俺が言えるのはそれだけだ」

「っ!」



私の今までの行動だけじゃなく、優利を心配した私の恋心までも…

全部ぜんぶ否定された気がして…塞ぎようのない深い傷が、心に入ったのが分かる。



「もう、いいよ…私の事は、放っておいて」

「おい、明里…!」

「優利が元気になってくれて…良かった」



そう言い残し、パタンと屋上を去る私。

優利は私を追いかけるでもなく、座ったままで…。

「はぁ」と短い髪の毛をグシャリと握る。



「俺に、どうしろっていうんだよ…」







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