スキがない総長の大胆な溺愛
私をじっと見つめながら、そこにいてくれた。



「蒼羽…」



思わず名前を呼んでしまう。

しまった、用なんてないのに…。


だけど蒼羽は、意味もなく名前を呼ばれたのを分かっていたのか。

目を伏せて「うん」と笑った。



「(あ、今…)」



その笑顔が、いつもの飾ったそれじゃなくて。

ちゃんと血の通っている笑顔に見えて…。

いま初めて、

蒼羽の本当の笑顔を見た気がした。

すると、その瞬間から…

視界が少しづつボヤけていく。



「(ねぇ、蒼羽…)」



今日、優利にフラれたんだ

好きな人じゃないけどキス出来るって、
そう言われた

悲しいよ。だけど…

私、変なの

好きな人にフラれたのに、すごくショックなのに…蒼羽の笑顔を見れて「嬉しい」って思ってる



「(嬉しいと悲しいが、私の中に同じくらい存在してる。

まるで優利と蒼羽の存在が、私の中で同じみたいで…)」
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