スキがない総長の大胆な溺愛
「春風には劣るけど…俺もそこそこ有名なんだよ」



ケンカが強い一匹狼ってね――



瞬間に蒼羽は飛び出し、向かってくる暴走族たちを、どんどん蹴散らしていく。

あっという間の出来事に、優利は完璧に逃げるタイミングを失った。


だけど…蒼羽がそれを許さない。



「今のうちに早く行って!」

「で、でも、」



その時。

うろたえる優利に近づく、一人の影。

その姿を捉えた蒼羽が、影に蹴りを入れて優利を守る…かと思いきや、



「お前が出来ないってんなら俺がするよ」

「え、どういう、」

「こういう事!」



聞き返した瞬間だった。

自分の顔面に、突如として蒼羽の足が現れる。


持ち前の俊敏さで、慌てて顔の前で手をクロスさせ、蹴りをガードした優利。


だけど衝撃は受け流せなかったようで、蒼羽の足によって優利は壁まで吹き飛んでしまう。


ガシャンと鋭く大きな音が響き、その音が木霊する中…優利はやっと地面に着地した。



「いっ、てぇ……あいつ、力いっぱい蹴りやがって…!」
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