スキがない総長の大胆な溺愛
息を切らせた私は、とっくのとうに自分の限界を超えていた。

体力が底をついていた。

酸素が足りなくて、頭も靄(もや)がかかったようにハッキリとしない。


だけど…


目だけは、必死に蒼羽を探していた。

そして見つける。

大勢の暴走族に囲まれる中、孤軍奮闘する、その人の姿を。



「蒼羽!!!!!」

「っ!?」



ガラスの割れた窓から顔をのぞかせ名前を呼んだ私を…

蒼羽は驚いた顔で見た。



「明里、なんで、」

「そっちこそ、こんな所で何してるの…!なんで一人で戦ってるの!?」



怒った私の顔をチラリと見た蒼羽は、人を殴りながら、そして蹴りながら…

顔を歪めて口を開いた。



「俺には、これしか出来ないから、」
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