スキがない総長の大胆な溺愛
「さすがに割れた窓から入るのは危ないからね。入り口に着いたよ」



なんと…。話しをするのに夢中すぎて…入口に案内されていたのを今知った。

無意識で歩いていたなんて…どれだけ器用なの、私…。



「あ、ありがとうございました…!」

「ううん。俺の方こそ」

「…え?」



俺の方こそ?

私、春風さんに何かしたっけ?

思い当たる事が何もないので首を傾げると、春風さんが笑った。



「まるで二年前の美月に会えたようで…嬉しかったよ」

「二年前の美月さん?」

「彼女も、昔は無茶したんだ。今の君みたいにね」



春風さんは眉を八の字にして笑った。

「あれには本当に困ったよ」という言葉とは裏腹に、春風さんの顔には、幸せな笑顔が浮かんでいる。



「ふふ。美月さん…顔に似合わず大胆な事をするんですね」
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