スキがない総長の大胆な溺愛
「既に小太郎が捕まえてる。これから尋問するから、お前も表に来い」



クイッと手を動かして春風さんに命令するマフラーの人。

春風さんは頷いた後、マフラーの人に先に行くように促した。



「というわけだから、俺はもう行くね。蒼羽はあそこにいるから」

「え、あ…本当、蒼羽…!」



蒼羽は廃墟の中央で倒れていた。

仰向けになって、ほぼ大の字で寝転んでいる。

怖いくらいに、手足がダランと伸びていて…思わず「大丈夫なんですよね…?」と春風さんに尋ねる声が震えた。



「見たところ出血も多くはないし、呼吸もしてるから大丈夫だけど…病院に行った方がいいね」

「はい…っ」



春風さんの「大丈夫」という言葉を聞いて、涙が溢れる。

そうか、大丈夫なんだ…

蒼羽――



「うっ、ひ、っく…っ」
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