とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「そんなの無理だよ。お父さん、もうどこも頼れないって言ってた。それでも何とかするから大丈夫だって……」


ダメだ、涙がこぼれそう。


龍聖君に心配かけたくないのに。


「琴音」


「……えっ」


うつむいてた顔を上げたら、嘘みたいな至近距離に龍聖君がいた。


「言っただろ? 何でもするって。今、恩返ししないと俺自身が後悔する」


「龍聖君……」


その瞬間、ふわっと香水の匂いがして、私の臭覚を優しく刺激した。


大人の男性の色気溢れる香りに、思わずクラクラしてしまう。


「俺が融資する。工場が持ち直すまで、無償でいくらでも必要なだけ」


えっ!!


あまりの申し出に、一瞬何が起こったか理解できずにいた。


龍聖君は、少し潤んだ瞳で私をじっと見つめている。


「ちょ、ちょっと待って。そんなのダメだよ。いくら家族のためでも龍聖君に迷惑はかけられない」


「そう言うと思った。お前らしい。だから1つ提案があるんだ」
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