とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
その時だった。


突然大きな揺れが2人を襲い、シャンプーなどがバタバタと倒れた。


地震だ。


俺は、琴音の頭を慌てて自分の体で覆った。


「大丈夫か?!」


「う、うん。大丈夫」


俺にしがみついてじっと耐えている琴音。


少しずつ小さくなっていく揺れが、しばらくして完全におさまった。


すぐに琴音を支えながらバスルームを出る。


「すごく長かったね、ちょっと怖かったな。久しぶりの地震だったね」


「あ、ああ」


俺の告白は……


自然の力にあっけなく消し去られた。


あまりのタイミングの悪さに戸惑う。


今はまだ止めておけということか。


琴音を生涯守り抜く力がお前にはまだ備わっていない……そう言われてるような気がした。


この幸せを手放したくないと思うのに、あと1歩前に進む勇気とチャンスがない。
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