とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
もし、鳳条グループの跡取りなどという肩書きが無ければ或いは……


もっと早くこの想いを伝えられたかも知れない。


いや、それは言い訳か。


とにかく、俺は高校時代から何も変わらない、ずっと弱虫のままだ。


こんな自分が本当に嫌になる、情けない。


「龍聖君。今日はね、卵がトロトロのオムライスに挑戦するからね。食べてまたお仕事頑張ってね」


着替えを済ませた琴音が笑顔で言った。


「ああ、ありがとう」


琴音のおかげで俺は毎日頑張れてる。


この人と、朝起きてから夜眠るまで、ずっと一緒にいたいと思う。


だから、必ずこの気持ちを伝える。


すぐ近い未来に。


たとえ想いが届かなかったとしても、それでも、言葉にして伝えたい。


俺は、どんな困難な状況でも、この命を張って琴音を守れる男になる。


お前のこと、世界一、幸せにしてやるから。
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