好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
「わたしには父がおりません。
雇い主である伯爵様がお医者様を手配してくださったのですが、治療がうまくいかなくて――――」
「え……?」
父親が居ない?
(どういうことだ――――?)
ステファンの動悸が強くなる。彼は思わず身を乗り出した。
「居ないのか? 父親が?」
「……? はい。わたしは父親の顔を知りません。生まれたときからいなかったそうです。
ですから母はわたしを育てるために、ジェラルドの――――彼の乳母として伯爵家で働いていました」
メアリーが隣のジェラルドを指す。ステファンは密かに息を呑んだ。
「君は……君たちは今、何歳だ?」
「18歳です」
(18歳――――)
メリンダが城を去ったのは今から19年前。
ステファンは自分と、メアリーとを交互に見遣る。それから口元に手を当てた。
(まさか、まさか……!)
メリンダにそっくりな愛らしい少女が、自分をまじまじと見つめている。
二人の繋がりを証明するものはなにもない。
確かめる術もなにもない。
けれどメアリーはきっと――――メリンダとステファンの子供なのだろう。
雇い主である伯爵様がお医者様を手配してくださったのですが、治療がうまくいかなくて――――」
「え……?」
父親が居ない?
(どういうことだ――――?)
ステファンの動悸が強くなる。彼は思わず身を乗り出した。
「居ないのか? 父親が?」
「……? はい。わたしは父親の顔を知りません。生まれたときからいなかったそうです。
ですから母はわたしを育てるために、ジェラルドの――――彼の乳母として伯爵家で働いていました」
メアリーが隣のジェラルドを指す。ステファンは密かに息を呑んだ。
「君は……君たちは今、何歳だ?」
「18歳です」
(18歳――――)
メリンダが城を去ったのは今から19年前。
ステファンは自分と、メアリーとを交互に見遣る。それから口元に手を当てた。
(まさか、まさか……!)
メリンダにそっくりな愛らしい少女が、自分をまじまじと見つめている。
二人の繋がりを証明するものはなにもない。
確かめる術もなにもない。
けれどメアリーはきっと――――メリンダとステファンの子供なのだろう。