好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
これまでは、ステファンを一目見られるだけでも嬉しかった。
たとえ顔を見られずとも、ステファンの存在を感じられるだけで嬉しくて、幸せで。たとえ気のせいでも、目があったと感じたときには、天にも昇る心地がした。
けれど今は、とてもそんなふうには思えない。
彼はメリンダではない別の誰かとの結婚が決まっている。この恋心が叶うことは一生ない。そうと分かっているから、顔を見ても辛いだけだ。苦しいだけだ。
メリンダがくるりと踵を返す。けれどそのとき、思わぬことが起こった。
「待ってくれ」
遠くから聞こえるステファンの声。
誰に向かって言っているのだろう――――一瞬だけそんなふうに思ったが、この場にはメリンダの他に誰も居なかったはずだ。
足音が段々こちらに向かって近づいてくる。緊張と期待でメリンダの胸が高鳴る。思わず後を振り返ったら、ステファンが真っ直ぐにメリンダのことを見つめていた。
たとえ顔を見られずとも、ステファンの存在を感じられるだけで嬉しくて、幸せで。たとえ気のせいでも、目があったと感じたときには、天にも昇る心地がした。
けれど今は、とてもそんなふうには思えない。
彼はメリンダではない別の誰かとの結婚が決まっている。この恋心が叶うことは一生ない。そうと分かっているから、顔を見ても辛いだけだ。苦しいだけだ。
メリンダがくるりと踵を返す。けれどそのとき、思わぬことが起こった。
「待ってくれ」
遠くから聞こえるステファンの声。
誰に向かって言っているのだろう――――一瞬だけそんなふうに思ったが、この場にはメリンダの他に誰も居なかったはずだ。
足音が段々こちらに向かって近づいてくる。緊張と期待でメリンダの胸が高鳴る。思わず後を振り返ったら、ステファンが真っ直ぐにメリンダのことを見つめていた。