幼馴染みの秘めた溺愛 ~お前は女神でヒーローで
「でさ、美桜のファーストキスは俺なんだろ?」
「うん」
「で、男もまだ知らないんだろ?」
「うん」
「あ!…俺は美桜を抱いていいのか?」
「もちろん。樹王が嫌じゃなければ」
「嫌なワケねぇだろ。抱きたくてしょうがないんだから」
「うひゃぁ!…でっでもさ、あたし経験ないから何も知らないよ?きっと面倒に思うんじゃないかな…」
「何、面倒って」
「だって、樹王は彼女もたくさんいただろうし…そういうのも慣れてるだろうけど…」
「いや、そもそも美桜だってたくさん男いたんだろ?キスまでいかなかったとしてもさ」
「ううん。あたし、過去に付き合ったのは一人だけだよ。しかもあたしの気持ちがないのがバレてすぐフラれたから。いや、付き合ってたかどうかも微妙なお付き合いだったけどね」
「ん?そいつが好きだったんじゃないのか?」
「ううん…あたしが付き合ったのは…樹王に彼女ができたから」
「俺に彼女…?」
「うん。樹王に彼女…好きな人がいるんだから樹王のことは諦めようと思って…それで交際を申し込まれて付き合ってみたけど、やっぱり樹王を諦められなくて…それが相手にも分かっちゃってフラれたんだ」
えっ?
「それ、いつの話?」
「高3の夏だったかな。それからは…樹王から彼女や好きな人の話も聞いてないから…あたしは諦めることもしなかったし、樹王が好きだったから誰とも付き合わなかったんだ」
「マジか…はぁ…」そうだったのかよ…
「…何?どしたの?」
俯いた頭をゆっくりと上げて言う。
「驚くなよ?…あのさ…俺もなんだけど」
「何が?」
「俺に彼女がいたって話。高3の夏な…ナントカって男が『今、美桜ちゃんと付き合ってるから』って俺に言ってきてさ。まさか…って思ってたけどある日、美桜とそいつが二人で帰ってるとこ見て、マジかよ!ってショックで。俺もその時に美桜に聞けばよかったんだけど…怖くて聞けなくてさ。…で、美桜に好きな男ができたんならもう諦めなきゃだなーって、告白してきた女と付き合った。終わり方も一緒。俺…やっぱ美桜が好きで諦めらんなくて、付き合った女に優しくもできなくてフラれたからな」
「あのさ、あたし、その人と一緒に帰った事なんてないよ。あ、一度…付き合う前に下校時に絡まれたことはあるけど…それかな」
「マジか…」
「ていうか…あたしのこと好きだったの?…その頃から?」
「ぶっちゃけもっと前から好きだったけどな」
「えぇ!…信じられない」
「…俺達、素直になれないせいですげぇ遠回りしたな」
「うん…そうだね」
「でもこの長い時間はさ、成長するのに必要だったよな、美桜も俺も」
「そうだよね。その期間があったからこそ、今のあたし達なんだもんね」
「あぁ。これから幸せな家族、作っていこうな」
「うん!」
その美桜の幸せそうな笑顔が、俺を幸せにしてくれる。
マジで今まで知らなかった幸せがここにあるよな。