もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 誰に向けたわけでもなかったのに、なぜか答えが返ってくる。

「なにが?」

 声のした方を見ると、柚子と契約結婚をする原因になった幼馴染の姿があった。

「もう帰ったんじゃなかったのか」

 話しかけた俺に、美里は肩をすくめて答える。

「どうしても気になったから。……あの人、本当に奥さんなの?」

「彼女がなんだろうと君には関係ない」

「一応、求婚し続けた相手でしょ。関係あるわよ」

 そう言った美里が近づいてくる。

 なにかと思ったら、俺の顔を覗き込むように背伸びをした。

 ぎょっとしたのも束の間、彼女の腕が俺の首に伸びて引き寄せようとする。

「やめろ」

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