もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 俺が欲しいのはもっと違うぬくもりだ──。

 心のどこかが反射的にそう叫んで、あと少しで触れるところだった美里の腕を払ってしまう。

「……悪い」

 乱暴な真似をしたとすぐに気づき謝罪するも、美里は目を丸くしてぽかんとしている。

「本当に奥さんなんだ」

「どういう意味だ?」

 美里は気を遣うように俺から距離を取ると、また肩をすくめた。

「今までの蒼史くんだったら、触らせるくらいはさせてくれたよ」

「そんなことはない」

「じゃあ、今までは許してたわけじゃなくてどうでもよかったんだ。だから私がなにをしても気にかけなかった。そういうことじゃない?」

「……なにが言いたいんだ」

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