もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 同じ家で生活するとはいえ、父親としてではない接し方も選べただろう。大和がそうしたように。

「二歳児にしてはかなり成長が早いようだ。子供は侮れないな」

「そ──うですね」

 彼がそう言うのもあたり前だ。優史はもうじき三歳になるのだから。

「……前にも言ったか覚えていないが、君に似てかわいい子だと思う」

 蒼史さんは相変わらず私を見ようとしなかった。

 私は彼と、彼の腕の中で眠る息子から目を離せない。穏やかで優しい言葉もあまり耳に入ってこなかった。

 ふたりを引き合わせてよかったと改めて感じたからだった。

 引き離してしまった罪悪感よりも、不思議と安堵の気持ちの方が強い。

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