もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「だったら今から教える」

 え、と聞き返す前に蒼史さんが立ち上がった。

 そのまま硬直する私のもとへ来て、肩を掴む。

「教えるってなにを……?」

「夫婦としての接し方を」

 声をあげる間もなく抱き寄せられて唇を奪われた。

 知っているはずのぬくもりが初めて与えられたもののように感じて、ひどく心臓がうるさい。

 微かに濡れた吐息が私と蒼史さんの唇の間を往復し、溶けあっていく。

 触れるだけのキスかと思いきや、蒼史さんはしばらく私の唇を自身のそれで甘やかした。

 どうやって呼吸をするのだったかわからなくなるくらい口づけを繰り返した後、彼は始めたときと同じくらい突然唇を解放する。
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