もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「新鮮な反応だな。医者と聞くと大抵の人間は好意的な反応をするものだ」

 蒼史さんは淡々と言って、私の腕から優しく優史を取り上げる。

 優史は抱っこしてくれる相手が変わったのも気づかず、目の前の広い胸にしがみついた。

「……まあ、俺も医者にいい思い出はないが」

「え?」

 思わず声をあげると、蒼史さんがはっとしたように顔を上げた。

「なんでもない。後は俺が見ておく。君も寝る支度を整えてこい」

 今のはなんだったのだろう?

 同僚や上司に苦い思い出があるのだろうか?

 あるいは、同じ医者である彼の両親?

 一気に疑問が噴出したのに、私の口から出たのは短いひと言だった。

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