もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「……はい、お願いします」

 彼がなんでもないというならそうなのだろう。

 下手に踏み込むのも怖い気がして、その場を引いてしまう。

 蒼史さんに優史を任せ、シャワーを浴びるために浴室へ向かった。

 最初は彼に遠慮していたけれど、今は素直に甘えさせてもらっている。

 激務の蒼史さんは朝から晩まで忙しく、今日のように優史と触れ合うときも常に私が傍にいたから、なかなか親子ふたりきりになる時間がないと気づいたからだ。

 私にも蒼史さんとふたりきりになる時間があったらいいのにな、なんて思うのはあまりよくない気がする。

 よい父や夫であるよりもよい医者でありたいと語る蒼史さんを思い出した。
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