もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「あの子はもう蒼史さんを家族のひとりだと認識しています。そう思われるだけの接点を、もう持ったんですよ」

「……たしかに最初からかかわらなければよかったな」

 蒼史さんが廊下の壁に軽くもたれ、息を吐く。

「どんな子なのか知りたかったんだ。君の子供だから」

 意外なほど彼の声が優しくて虚を突かれる。

 今、目の前にいるのは私の知らない蒼史さんだと感じた。

 表情は変わらないのに寂しげで、切なさが込み上げる。

 その瞬間、違和感の正体にたどり着いた。

「家族が欲しくないわけじゃないんですね……?」

 蒼史さんが私の言葉を聞いて微かに目を丸くする。

< 180 / 281 >

この作品をシェア

pagetop