もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 その能力は蒼史さんに引き継がれたのだろう。彼は親の七光りだと言われないだけの実力を持っていると、四年前にも耳にした。

 いったいどんなご両親なのだろう?

 お出かけにはしゃぐ優史をなだめながら義実家に到着すると、ほがらかな笑顔の女性が私たちを出迎えてくれた。

「お帰りなさい、蒼史さん」

 初老の女性が蒼史さんに言うも、彼は軽く会釈しただけで応えなかった。

 代わりに私をちらりと見て告げる。

「昔からうちの手伝いをしてもらっている。家政婦……いや、ハウスキーパーか」

「昔っぽい言い方をするならお手伝いさんですね」

 彼女はにこやかに言うと、私たちの前にスリッパを置いてくれた。
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