もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「俺が忙しすぎて結婚できないのだと誤解して、娘に力になってやれと話すような世話焼きでな。困っている」

「でも、優しい方に見えました」

「だから困る。いっそ財産狙いのわかりやすい悪女たちならよかったものを」

 苦々しい口調だけど、蒼史さんが彼らを本気で嫌っているふうには見えない。

「それなら事情を説明すれば、契約結婚なんてしなくても理解してもらえたんじゃ──」

「この先が客間だ。変に緊張しなくていい」

 私の疑問を遮って、優史さんが言う。

 一拍置いて彼がドアを開くと、まず最初に広い部屋が視界に入った。

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