もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 優史はテーブル越しに祖父母を見上げると、クッキーの皿を指さして『欲しい』とアピールした。

 あげる、というのは『あなたは私にあげようと思いますか?』という意味であって、優史が相手にプレゼントするということではない。

「欲しいなら好きにしなさい」

 祖父に言われ、優史がぱっとうれしそうな顔をする。

「ありがとー」

 さっきまで落ち着かない様子だったのに、優史は無邪気にクッキーの皿を手に取り、また私のもとへ戻ってきた。

 さすがにこの状況で黙っているのは母親として失礼がすぎる。

「すみません、ありがとうございます」

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