もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 そう言って蒼史さんが私と、クッキーを頬張る優史に帰宅を促した。

 まだ義両親と出会って十分も経っていない。

「蒼史さん……」

「なにも言うな」

 戸惑いを口にすると、感情のない表情で蒼史さんが言う。

 彼の実家なのに、なんて冷たくて怖い場所なのだろう。

 義両親は突如現れた嫁にも、クッキーをせがんだ孫にもまったく興味がないのだ。

 蒼史さんの子じゃないと思っているから? いや、彼らの反応を見る限り、それは関係ないように見える。

 仮にも夫の両親に対して失礼かもしれないけれど、今すぐここから逃げ出したかった。

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