もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「息子との付き合い方などわからないのに?」

 自嘲気味な笑みを浮かべて言うと、蒼史さんは私の手をほどこうとした。

 なぜかそれが嫌で、ますますきつく握りしめる。

 短い沈黙の間に、優史がクッキーを食べる音が響いた。

 食べていい量だけを渡しているから、食べすぎを心配する必要はない。

 蒼史さんは私に握られた手に視線を落としてから、後部座席の優史を振り返った。

 私もつられてそちらを見ると、顔と手をクッキーの粉まみれにした優史がうれしそうに笑って手を振る。

「いっしょ、たべましょ!」

 チャイルドシートの上で足をばたつかせ、優史が蒼史さんにクッキーを渡そうとする。

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