もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 残念ながら小さな手でぎゅっと握られたクッキーは割れていた。

「……ありがとう」

 だけど蒼史さんは優史にお礼を言ってから受け取り、遠慮がちに口に運んだ。

 それを見た優史が喜んだのを確認してから、また視線を私に戻す。

「本当にかわいくていい子だと思う。……だが、俺はあんな両親のもとで育った人間だ。この先この子を傷つけてしまうかもしれない」

 そう言える人が、どうやって優史を傷つけるというのだろう。

 偽装恋愛の延長のはずなのに、彼はこんなにも真剣に優史のことを考えている。

「……ご両親と蒼史さんは関係ありません。私は……あなたが優しい人だって知ってます」

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