もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 そんな彼を咄嗟に引き留めていた。

「蒼史さん、私たちの結婚はいつ終わらせるつもりですか?」

「なぜ、急にそんな質問をするんだ」

「今まで聞きたくても聞けなかっただけです」

 それも含めて、私は蒼史さんとちゃんと話をしたいのだ。

 だから『話そう』ではなく、彼の気を引くような言い方をした。

「とくに期限は設けていなかったはずだ」

「はい、私も聞いた覚えはありません。でもいつかは終わるんですよね?」

 自分で言っていて、じわじわと疑問が大きくなる。

 幼馴染の美里さんに言い寄られているから、契約結婚でやり過ごさなければならないのだと言っていた。

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