もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 彼が女性関係に悩んでいたのがきっかけで偽装恋愛を始めたのはたしかだけど、あの夜の私は初めて自分の望みを優先させたのだ。

 私が言葉に迷っていると、大和が持っていたペットボトルをテーブルに置く。

「姉ちゃんのそれって、ばあちゃんのせい?」

「せいって言うと、悪いものみたいに聞こえるよ」

 優しい祖母は『人に優しくしなさい』と繰り返し私と大和に言い聞かせた。

 誰かに親切にしたら自分も幸せになれるから、と。

 祖父母はその言葉を本当に実行する人たちで、両親を亡くしたばかりの私たち姉弟を引き取ったのもその考えが根付いていたからだろうと思う。

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