もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 私たちが親戚の間をたらい回しにされそうだったというのは大人になってから知った。施設へ送る話も出ていたようで、祖父母が引き取ってくれなければ姉弟でバラバラになっていた可能性もあったらしい。

「私はおばあちゃんたちにもらったものを、ほかの人にもお返ししたいだけだよ」

「返しすぎ」

 ようやく私が恩返しできる年齢になった頃、お返しなんてしなくていいんだとでもいうように祖父母は亡くなってしまった。

 最初に祖父が、その後を追いかけるように祖母が大往生を遂げたのだ。

「もう少し自分を優先しろよ」

「ありがとうね」

 別に大和が言うほど自分を犠牲にして生きているわけじゃない。

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