もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました

「ママ?」

 不思議そうに私を見つめる優史には蒼史さんの面影がある。

 下がり眉のせいか、いつも困った顔に見える私と違い、優史は男らしい顔つきだ。

 涼やかな目もとと薄い唇も蒼史さんに似ていて、親の贔屓目だとわかっていてもかっこいいと思う。

 この子を見つめるたびに私は蒼史さんの眼差しを、そして彼に愛された夜を思い出す。

 だからときどき、優史の笑顔を切なく感じるのかもしれない。



 優史がいる以上、以前通りに仕事をするわけにはいかず、現在は休職中だ。

 休職前はなにをしていたかというと、市の子育て奨励プログラムによって十年ほど前に建った児童館の職員である。

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