もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 悩んだ末に私は、結婚を望まない彼を困らせないために優史の存在を明かさずここまで過ごしてきた。代わりに蒼史さんからひと文字、〝史〟の字だけもらって。

 ほかにどんな選択肢があったんだろう。考えても未だに答えは出ない。

「ママ、みて!」

 優史がすべての積み木を積み上げて目を輝かせている。

「わあ、すごいね!」

 あの夜に宿したかわいい愛の結晶を抱きしめ、やわらかい頬に顔をすりつける。

 優史が大きくなるにつれ、これでよかったんだろうかという思いが強くなる。

 この子はいつか、大和が父親ではなく叔父だと知るだろう。

 それなら父親は誰なのかと聞かれたとき、私はどう答えればいい?
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