もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 怖い夢でも見たのかな。

 そう思って様子を見に行って、足が止まる。

「うあああん! おみみいたいいい!」

 真っ赤な顔をした優史が自分の耳を塞ぐように手をあて、めちゃくちゃに暴れている。

 どう見ても尋常な様子ではなく、背筋が凍りついた。

「ユウくん! どうしたの!?」

「わああん! うええん!」

 いつもの優史なら、機嫌を損ねていてもなにかしらの言葉を返してくれる。

 支離滅裂だったり、『ママきらい』『やだ』などの否定だったりしても、コミュニケーションを放棄することはなかった。

 でも今は違う。私の声など聞こえていないかのように、耳を押さえて大泣きしている。

< 37 / 281 >

この作品をシェア

pagetop